今回は「この第3四半期にETFが実現する」という前提で考えてみます。
実際にどうなるかはわかりませんし、特に目新しいこともないのですが、いくつかご質問をいただいたので、確認の意味でご覧いただければと思います。
「売却」となる場合
もはやホルダーさんには有名なこの図を引用します。
上の図で言えば「A」と「B」、これらは税務上はいずれも「売却」となります。
Aは「一旦ユーロにして、それからETFを取得」するケース。
また、Bは「直接、ETFと交換」するケースですね。
なお、これらの場合は日本円に換算して計算する必要がありますが、その際に使用する為替レートは、ADKを売った場合は「主要金融機関の電信買相場(TTB)」で計算した金額、ETFを買った場合は「電信売相場(TTS)」で計算した金額となります。
必要な検討や計算
売却益の想定と確定申告の要否
ジュンさん(仮名)は、ADKの1,000枚ホルダーです。
ここまでのADKの平均取得価格は1,200円。
本日現在では、ADKのETFの売り出し価格はわかりませんが、ここでは仮に(以前にドンが言っていた?)1,500円としましょう。
市場が違うので、「ADK1枚の価格 ≠ ETF1口の価格」となるでしょうが、大きな開差にはならないでしょうから、ADKの想定単価も1,500円とします。
<ジュンさんが全枚数をETFに換えた場合>
〇 売却総額:1,500円✕1,000枚=150万円
〇 取得原価:1,200円✕1,000枚=120万円
差引30万円の利益が発生します。
つまり、もしジュンさんがサラリーマンであった場合には、「給与所得以外の所得が年間20万円を超える」ので確定申告が必要となりますね。
ですので、皆さんも「自分が確定申告しなければならないのか否か」はわかっていないとなりません。
ここでは「ETF=@1,500円」と仮定しましたが、実際の価格はわかりませんので、今後の情報に注意を払っていてください。
取得価額がわからない場合
何故、この時期にこの記事を書いたかと言えば、このためと言っても過言ではありません(笑)
「実は、今まで原価計算をしたことがない」という方、ご自身でもヤバイなぁと思っていませんか?
上記のとおり、確定申告が必要かどうかすらわからないのでは、「もはや不安しかない」という状態だと思います。
でも大丈夫!まだ時間はあります!
ADKホルダーの皆さんは、基本「仮想通貨中級者以上」なので、今さら計算方法等をお話しするつもりはありませんが、売却するまでに原価計算しておくことだけはオススメします。
なお、「今年に入ってから現在までの間に泣きたいほどの売却損がある方」や「1枚5,000円以上の超高級ADKを保有している方」など、(ある意味、残念ですが)売却に関して明らかに計算不要のケースもあります。。。
検討や計算の結果、確定申告が必要となった場合に考えること
「損出し」できるものはないか
損出しとは、簡単に言えば「含み損を抱えているADK以外の銘柄を一旦売却して、直後に買い戻す」ことです。
これにより、「含み損」を「実際の損失」として顕在化させて、ADKの売却益と相殺できるようになります。
サラリーマンの方なら、「売却益が20万円以下」になれば、確定申告は不要となりますね。(それでも本当は住民税の申告は必要なのですが。。。ゴニョゴニョ)
もちろん「俺はADK1本!」という男気溢れた方には使えない手法ですし、また、買い戻す際にも、価格の変動や板の薄さから「同枚数を買い戻せない」等のリスクがあります。
納税資金をどうするか
さて、それでも確定申告が必要となる場合には「その他の準備」も必要です。
本件のように、仮想通貨 ⇒ ETFとした場合は「所得は発生するが、お金は手元にない」状態となります。
例えば、先のジュンさんの場合なら、30万円の利益に対して、約30%(9万円・含住民税)の税金がかかります。それ以上の方ならもっと多いです。
その納税資金を貯めておかないとなりません。
お金がない場合は、一部を売却することになりますが、安い価格で枚数等を減らす&その売却にもさらに税金がかかることも考慮しておいてください。
税理士をどうするか
ご自身で申告できない場合など、税理士に依頼することを検討しているかもしれません。
現在は「計算+申告」で10万円~が相場のようです。
例えばジュンさんなら「9万円の納税をするのに、さらに10万円以上をかける」ことになります。
バカらしいとは思うでしょうが、できないのなら仕方がありません。
こんな方は、税金のほかにこの費用も貯めておく必要があります。
なお、「安い税理士を探したい!」場合は、コチラの記事をご覧ください ↓ こんにちは、守之助です。 今回は業界に精通している私が、格安税理士について本音で解説します。 (※「格安税理士」とは、月額顧問料が1万円前後の税理士のことです。) 早速ですが、実は多くの方がこんな風に ... 続きを見る
【保存版】格安税理士の選び方マニュアル(守之助が本音で解説)
<参考:逆の立場から>
皆さんは、税理士費用が高いと思うかもしれませんが、逆の立場から言わせていただければ、多くの場合は割に合わない仕事となります(笑)
そもそも仮想通貨の税金計算とは「過去に起きた事象の処理」で、そこに工夫の余地やワクワク感はありませんし、ただの時間の切り売りです。
例えば私なら、過去ではなく、未来の「稼ぐ(アイディア)」や「節税(プランニング)」に時間を使いたいですし、クライアントさんにしても「(金銭的な損得は)その方が絶対おトク」な結果になるんです。
なので、特にサラリーマンの方や全ツッパ中の方には、「自分で計算+自分で申告」がオススメです。
※ちなみに経験上、「家族のこと」と「お金のこと」は、他人任せにしない(最低限は、自分で勉強・自分で管理)ほうがいいです。
私はエクセルで管理していますが、巷には無料の計算ソフトもありますし、その計算結果と源泉徴収票等を持って税務署に申告相談に行けば、タダで確定申告も出来ます。
また、自分で計算できる方なら、さらにその次の「もっといい方法」や「もっと節税するために」の勉強をオススメします。
やりたい事によっては、「税金を補助金に変えてしまう方法」や「割引で遊べる方法」など、お金の仕組みを知ることによって、より有利に・豊かな生活ができる場合が多々あります。
そして実際に今、遊び心のあるホルダーさん達とグレーなことを画策しながら「ワクワク」した時間を過ごしています(笑)
その他に注意すべきこと
上記以外で、ご質問いただいたことを簡単に。
口座開設に必要な手数料等の費用
少額ではありますが、もしADKで支払う場合には、これも「売却」の金額に含めて計算してください。
なお、この口座開設に係る費用は、経費になりませんのでご注意ください。
ケニアでETFを売却した場合
まだまだ先の話でしょうが、これについても一言。
まず、ETFは仮想通貨の名称がついていても、税務上の取扱いは「株式」となります。(なので、ETFにするのであれば「株の税制」の勉強が不可欠です。)
そして個人の場合の「株式等のキャピタルゲイン」は、租税条約ほか、基本的には「その人の居住地国に課税権がある」のが通例であり、ジェトロのレポートを見る限りケニアも例外ではないようです。
※ こちらがジェトロHPのケニアについてのリンクです。
つまり、売却した場合でも現地で税金が天引きされることはなく、日本において「申告分離課税(税率20%)での確定申告」をするだけでOKということですね。
ただし、私は現地の法令に明るいワケではないので、詳しくは専門家にご相談ください。
マネロン対策の注視
「お金を日本に戻せなくなる可能性はありますか?」
こんな質問もいただきました。
結論としては「わかりません。。。」としか言いようがないのです。
まず、ADKのまま保有する方。
今後は、一層管理が厳しくなることが想定されます。
最悪は、何らかの登録をしないと「一切使えなくなる」可能性すらあります。
このような方は、日々の動向を注視するとともに、場合によっては「不本意ながら、半強制的な利確により日本に戻さざるを得ないケース」の覚悟もしておきましょう。
一方、ETFにすれば安心かというとそうでもありません。
確かに、口座開設には、いわゆるKYCの手続きをしますし、何といっても法定通貨での取引が基本なので、無効や無価値になることはありません。
でも、「送金制限」が課される可能性は十分にあります。
人毎の送金理由や送金額の多寡等、ケース・バイ・ケースとなりそうですが、簡単に手元に戻せない場合にどうするか等も考慮しておく必要がありそうですね。
今後のコミュニティのチカラにも期待したいところです。
ホルダーが死亡した場合
相続が発生すれば、基本はその時の時価評価で相続人(配偶者や子供等)に課税されます。
何年後かには有り得る最悪の状況は、「国税当局がその財産を把握しているのに、相続した方々がそれを知らない・引き出せない」という状況になることです。
となれば、万が一自分が死んでも、残された方々が引き出せるように説明書等を作っておく事は、もはや仮想通貨マンのマナーといってもいいでしょう。
今はまだわからないこと
① このETFは何口単位で買えるのか
ETFの売買単位は、1口単位で買えるものから、10口単位、100口単位など様々あります。
ADKのETFがどういう単位で買えるのかにも興味がありますね。
② 分配金(株でいう配当金)はあるのか
これがあるなら、「配当金の勉強(計算方法や確定申告の仕方)」も必要になります(笑)
以上2点について、ご存知の方は是非教えてください。
まとめ
以上は、「これからも日本に住み続ける」且つ「儲かってもせいぜい1億円程度」の庶民ホルダー向けの話です。
「大口ホルダー」や「海外移住を視野に入れている方」等、保有枚数や将来設計によっては、こんな単純な話では済みません。
ほかに考慮すべき事項がいくつもありますし、それらをモトに多角的な検討も必要となります。
ですので、ネットに落ちている質の悪い情報を鵜呑みにせず、しっかりとした検討をしてくださいね。
ちなみに、私はというと。。。
確かにETFは税金的には有利ですが、その分、夢やロマンがなくなってしまう感じがして、個人的にはそのまま持っていようかと考えています。
所詮、庶民ホルダーですから(笑)
繰返しになりますが、「安い税理士を探したい!」場合は、コチラの記事をご覧ください ↓ こんにちは、守之助です。 今回は業界に精通している私が、格安税理士について本音で解説します。 (※「格安税理士」とは、月額顧問料が1万円前後の税理士のことです。) 早速ですが、実は多くの方がこんな風に ... 続きを見る
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