こんにちは、守之助です。
今回は業界に精通している私が、格安税理士について本音で解説します。
(※「格安税理士」とは、月額顧問料が1万円前後の税理士のことです。)
早速ですが、実は多くの方がこんな風に思っています。
「税理士はみんな同じ仕事をしている」
「だから料金は安いほうがいい」
税理士の仕事内容の詳細なんてご存知ないでしょうから、これは当然のことです。
ただ、この「勘違い」でトラブルが多発しているのも確か。
なので、以下でそのあたりの解説をしていきます。
税理士の仕事のイメージ
例えば、アウトドア・ショップでは、テントを組み立てた状態で展示していますね。
一方、ホームセンター等では、収納された状態で売っています。
当然、ホームセンターで買えば、組み立てたあと「あれ?少しイメージ違うな」となってもおかしくないですよね。それと同じです。
税理士に限らず、直接目で見えない仕事というのは、ある種のブラック・ボックスなワケです。
なので、まずはビジネスを対象とした場合の税理士の仕事の範囲を簡単に説明します。
税理士の仕事の範囲
まず税理士業務には、大きく2つに分けれます。
① 過去税務
② 未来税務
です。まずは図をご覧ください。
①過去税務
図のAの部分です。
会計処理をしたり、申告書を作ったりという部分ですね。
一般的なイメージは、ほとんどこれです。
大体は、毎月1回、必要な資料等を送って入力、帳簿等を作成します。
但し、この入力業務が別料金や追加料金の場合も多いので、そこはよく確認する必要があります。
そしてその後は、決算〆⇒申告書作成・提出・納税となります。
②未来税務
次に未来税務ですが、こちらには、いくつかレベルがあります。
Bについて
これも、一般的なイメージに含まれてますね。
簡単に言えば、「どちらが得か」だったり、「基本的な節税アドバイス」(いわゆるグレーではなく、完全な白)があります。
Cについて
Bの一階層上のアドバイスです。
少し踏み込んだグレーな節税や税務調査に耐えられるような事前のアドバイスが含まれてきます。
Dについて
経営に関することです。
資金繰りや売上に繋がるようなこと、同業者の動向、便利なツールの紹介、他業種で有効だったアイデア等、本当に多岐に渡ります。
通常は雑談的に展開しますので、場合によっては「ウチの息子にいい(お見合い)相手いない?紹介してよ。」みたいなレベルの話まで、何でもアリになります(笑)
簡単ですが、以上がビジネスに関する業務であり、通常の顧問契約に含まれる範囲の内容です。
また、それ以外に「相続税」等に関する業務があります。
最近は、特に東京では、この「相続税関連」は、それに特化した税理士が多数いますし、実際、特化している事務所に任せたほうが効率がいいです。
格安税理士の仕事の範囲
一方、格安税理士の平均(!?)はこんな感じです。
(個別の話ではありません。いろいろな方から聞いた話の平均値です。)
通常、依頼される方がイメージするよりも範囲が狭いのです。
格安税理士の仕事のやり方
「値段は安ければ安いほうがいい!」
そんな方の需要に応えるための形態にしています。
そのため、必要最低限をなるべく安く提供できるように、「薄利多売」形態となります。
一般的には、税理士1人に対してパートさんをかなり多めに雇い、それぞれの分担を「流れ作業(ベルトコンベア方式)で処理」する体制を組んでいます。
意外に多い格安税理士への不満
格安税理士に対する不満の声
【 主な不満(クレーム?)】
- 税理士が訪問してくれない
- 親身に相談に乗ってくれない
- 連絡をしても、なかなか折り返しの連絡がこない
- 何も提案してくれない
格安税理士に対する不満は、大体この辺りに集約されます。
不満やクレームの原因等
早い話、「お互いの理解に齟齬(そご)がある」ということです。
依頼する側は「通常の業務範囲をやってもらえる」と思っています。
でも、安い料金で経営するためには、
- 顧客に合わせたサービスではなく、業務内容を標準化してその範囲内のサービス提供を行う。
- より多くの集客を行い、標準化した業務に当てはめられる顧客のみと契約する
- 顧客への訪問は行わない
- 記帳代行は行わない
- 安い給与額で従業員を採用する(質はあまり問わない)
等にせざるを得ません。
ですので、料金の中にどこまでが含まれるのかは、各事務所それぞれとなっています。
中には、従業員の給与にはみなし残業代を含めているということで残業代は一切認めない(基本給に含まれている残業時間を超えても)という事務所もあります。
こうなると、実際に作業をするスタッフはストレス漬けになり、とてもじゃないですが「クライアントに良いサービスを提供しよう!」という気持ちを維持し続けられるはずもありませんよね。
また、このような会計事務所には、「自分はなるべく金を払いたくないが、相手には十分以上の仕事を求める」という人も大勢やってきます。
あるいは「(たとえザックリでも、相手である税理士の)原価計算ができない・一切しない」という人も多いです。
どんなモノにも適正料金というのがあります。
つまり「内容と金額の見合い」です。
この部分は「気は心」とか「魚心あれば水心」とかにもなりますが、でも、これがなければ一番大事な「お互いの信頼関係と値段以上の頑張り」は期待できなくなりますよね(^^♪
格安税理士に適している人・いない人
格安税理士が適している人
適している方を簡単に言えば、
①ビジネス&税金の上級者
「知識も経験も、もう十分にある」という方です。
であれば、単純に作業を外注するのは賢いやり方ですね。
②個人事業者&フリーランスの8割の方
いわゆる「職人タイプ」で、事業の規模や内容に大きな変化を見込んでない方です。
シンプルなビジネスであれば、あまり多くの知識や検討は必要ないという事ですね。
③個人投資家の方
当たり前ですが、税理士が「投資の内容」について何かを言うなんてことはありません(笑)
また、経費にできる範囲もかなり制限されています。
つまり「工夫できる余地があまりないから」という理由です。
格安税理士が適していない人
逆に適していないのは、
①今後、事業を拡大していくビジネスオーナー
この場合、事前の税金の損得計算やキャッシュフローの注視が必要になります。
また、「先人達の失敗談」も有用です。
②個人事業者&フリーランスの2割の方
こちらも「今後、ビジネスの拡大を予定している」なら、あまりオススメできません。
「知は力なりけり」と言いますが、特に「経営脳」にしていくためには、外部からの生きた情報は有用です。
その他、単純に「税金に詳しいほうが(仲間うちで)カッコいい」「格上に見られる」という、あまり実益のない理由もあります(笑)
③事業を視野に入れている投資家(予定者含)の方
特に法人化をして、資金をいろいろな方面に投入したり、経費にできる範囲を拡げて「人生を目一杯謳歌したい」と思うような方です。
楽しもうという場合は、グレーな節税・攻めの節税が必須になってきますので、そもそも相談できない環境では、「余計な損」をして、お金が手からこぼれ落ちている可能性があるからです。
私が考えるベストな方法
ここではビジネスオーナーに限ってお話しします。
税理士業界も経営者も良く知る私が、「もし自分だったら」という話です。
結論は「2階建て+α」です。
図をご覧ください。
1階(黄色)は作業代行型税理士=格安税理士です。
2階(ピンク色)は相談型税理士=相談や提案がメインの税理士です。
セカンドオピニオンなどとも呼ばれます。
昔むかしのその昔、「テレビデオ」というものがありました。
要はビデオ一体型テレビ、今で言えば「録画用HD内臓型テレビ」なのですが、そのビデオ部分が壊れやすくて、壊れた=全体を買い換えしなくてはなりませんでした。
不便だし費用はかかるし面倒臭いし。
ということで、私はそれ以降、テレビと録画機器は別々にしています。
税理士もそれと同じで、個人的には一体化にこだわらず、機能別のほうが何かと便利だと思っています。
結局、人や事業の成長に合せていろいろ変えて行くのが一番いいですし、図にあるように、
- 最初は必要な知識を仕入れる(まずは最低1サイクル=1年間をオススメします)
- ある程度マスターしたら一旦契約解除
- その後、事業が成長してきたら再度契約する(成長期間に合わせて)
そんな形がベストだと判断します。
(あくまでも「もし自分なら」ということです。)
税理士のサイトで「税金のことは税理士に任せて、社長さんは本業に専念してください」的な表現を見かけますが、個人的には反対です。
経営とは利益を追求することです。
①売上 ー ②原価・経費 ー ③税金 = 実質的利益
つまり、①②はもとより、③の税金についても、ある程度「自らの手でコントロール」できるようになるべきと考えます。
もちろん、細かい事まで知る必要はありませんが、多少大まかでも「的確な税務戦略」を立てられることは「本業」に含まれると思いませんか?
また、「+α」は相続専門税理士です。
仮に顧問税理士がいたとしても、相続はスポット案件なので、発生した場合は「別料金」となります。
ですので、+αとして別建てしても、費用的にそんなに大きな違いが出ることはありませんし、事例も豊富なので話が早いです。
「趣味と同列」に考えないで!
突然ですが、私の趣味は釣りです。
そして、もし誰かに釣りを勧める場合なら、
「まずは安い道具でOKだから!」
と言います。
それは、今後、その人の趣味になるのか・続けるのかが分からないからです。
のめり込んできたら、少しずつお金をかけていけばいいんです。
でも、ビジネスは「続けるかどうかわからない」というものでしょうか?
通常は「最初から思いっきり本気!」ですよね。
それなのに実際、趣味と同じようなお金のかけ方をしている方が多いです。
一方で、商売の基本は「仕入れて売る」です。
この場合の「売る」は、売上ではなく利益(手残り)だと考えて下さい。
また、「仕入」も商品だけではなく、「利益を増やすために必要なことの全て」になります。
「仕入れなければ売れるはずもない」
なのに、「お金がある・ない」で仕入の判断をする方が多いのも事実です。
サラリーマンなら「入ってきたお金から、どう使うか」でしょうが、商売人は「まず使う・そして回収する」のサイクルですよね。
つまり、利益のために必要か・必要でないかが判断基準です。
これは税理士なんて小さな話に限らず、経営上の「各種ノウハウは全て」です。
仮にお金が厳しくても、「(将来的な利益のために)必要な仕入れ」をしなければ、ジリ貧は目に見えています。
商売人なら当たり前の考え方だと思うのですが、結局、廃業していくのは、そういう「サラリーマン思考」から抜け出せない人なのかなぁと思います。
格安税理士の中から「少しでもいい税理士を探す方法」
では、いよいよ「税理士を探そう!」です。
ポイントの1つ目。
やはり「直接会う」のが一番いいのは間違いありません。
ただ、「料金最優先」であれば、日本全国から探せます。
その場合、以降もメール・電話・スカイプ・郵便等での対応となります。
2つ目は「カモにされないように!」です。
以上を踏まえて、早速いきましょう。
まずは税理士紹介会社に問い合わせをする
どこもあまり変わりませんので、ここでは税理士登録数の多い「税理士ドットコム」をご案内しておきます。
また、「何をどうやって問い合わせればいいの?」という方は、次のような事項を簡単に記載してください。
【基本的な記載事項】
① 基本事項
入力する枠がありますので、その通りに入力すればOKです。
・法人・個人の別
・氏名
・電話番号
・メールアドレス
・住所地(都道府県まででOK)
②「相談内容」欄の記載事項
<共通の必須事項>
冒頭、「格安税理士を探しています。」の一言。
これこそが本件の目的なので、絶対に記載漏れのないようにしましょう!
また先の通り、料金最優先なら「全国可」、直接面談するなら「近辺希望」と記載してください。
<事業者の場合>
候補となる税理士選出のため、以下を簡単に記載すれば大丈夫です。
・事業内容(例:建設業(内装)/飲食業(居酒屋) など)
・事業開始はいつ頃からか。
・青色申告か白色申告か。
・事業の規模(大よその年間売上金額・従業員数 など)
・会計ソフト利用状況等
→あれば、会計ソフトの名称
→税理士に任せる場合、大よその月々の領収書数
・現在契約中の税理士がいるかいないか
※いる場合は、後述の④をお読みください!
<仮想通貨等の個人の場合>
現在の職業と収入の種類。
・給与収入のみ
・不動産収入アリ
等々を記載します。
そのうえで、「仮想通貨の申告を要する」ことを記載してください。
(これも対応できる税理士を選出するためです。)
③ メール等の返信(本人確認)について
問い合わせをすると、必ず「冷やかしでないか」等のための確認が来ます。
基本的には電話での確認です。
もし、メール連絡を希望する場合には、「メール返信を希望」と記載してください。
但し、この場合、そのメールに対するレスの早さが大切になります。
「怪しい」とか「遅い」と判断されていい事はありません。
また、かなり確率は低いですが、急を要する連絡などは電話が来る場合もあります。
④ 現在、税理士がいて『変更しよう』と考えている場合
この場合、若干の注意が必要です。
今回の税理士探しでの「知り合いからの紹介等」や「他の税理士と話をしている等」がトラブルに発展する可能性があるからです。
なので、現在顧問税理士がいる場合には、
・現在の税理士事務所名
・変更を検討している理由
・その他特記事項
を記載しておいたほうがいいです。
紹介会社は、全ての問合せに対して依頼者側の名前等は伏せた状態で税理士を探すのですが、それゆえに「現在の税理士が税理士ドットコムに登録していて、そこに声をかけてしまった…」なんていうサイアクな状況になる可能性がもあるんです。
そんな気マズイことになるのは避けたいですよね。
法人ならなるべく早く・個人なら遅くとも年明け1月末には候補を決めておく
必ず「契約しておかなければならない」という事ではありません。
問い合わせると、税理士ドットコムから候補者が紹介されます。
ここで「なるべく早く」「真剣に面談」してください。
そして、最低でも1人(できれば2人)の「有力候補」をキープします。
格安税理士はハッキリ言って「ピンキリ」です(笑)
当然、いい人から先に売れていきます。
いざ頼もうと思ったら、もう枠が残っていなくて断られるなんてこともあります。
なので、法人なら「なるべく早く候補を決める」、個人でも「年内に候補(できれば予約か契約)を決めておく」のがオススメです。
税理士に「申告が必要なことがわかっているのに、申告期限ギリギリに来るってどうなの?」と思われても、いいことなど何もないです。
面談の際の絶対的確認事項
人となりや対応の良し悪しは当然として、料金と内容を対比しながら説明を受け、キッチリ確認してきてください。
これ、本当に大事です。
特に、表面上の料金を「なるべく安く見せるために」、別料金扱いしている業務の内容を確認してください。
①まず、あなたにどんな内容の業務・作業が必要になるのかを教えてもらいます。
②次に、それぞれの報酬額を「全て」呈示してもらいます。
直接業務だけではなく、移動等に対する日当や交通費等についても確認します。
これを怠ると「必要なサービスを報酬には含めずに報酬を安く見せておいて、受注後に追加報酬をいろいろと請求、最終的に通常の報酬額(4~5万円等)と何ら変わらなかった」ということも普通にあります(笑)
また、これは事後の話になりますが、「(保険代理店として)盛んに顧客に保険を販売しようとする」場合も要注意です。
もちろん本当に必要な場合はいいのですが、大体は「必要以上」が提案されます。
(かなりオイシイ手数料が入るからです~笑)
まとめ
格安税理士の利用は「良い・悪い」の話ではありません。
「自分の身は自分で守る」
この意識こそが生き残るポイントです。
丸投げしても「防御力」や「守備力」は上がりません。
「将来的にどうなりたいのか」
「その為には、今何が必要なのか」
を判断して、どうしていくかを決定するのが一番です。
「作業だけを(なるべく安く)代行させたい」
「提案もして欲しい」
「税金の技術を覚えたい」
「ビジネスを伸ばしたい」
やはりビジネスにおいては、「目的地を明確にしたら、なるべく早くそこに到達する」のが最優先ですよね。
追伸
今回、結構一所懸命書きました。。。
なので、是非みなさまにお役立ていただきたいですし、周りの格安税理士を探している方にも、この記事を活用していただければ嬉しく思います。